2009年度夏山合宿報告書

日本大学山岳部 主将 船田良

 

山域:北アルプス 剣定着、扇沢〜鹿島槍ヶ岳〜五竜岳〜白馬岳〜親不知

期間:平成2184日(火)〜818日(火)

メンバー:CL船田、SL高木、飯田、上野、勝又、下鶴、高橋、山浦

     OB大谷、原澤、鈴木、鵜原

 

記録

85日(水)1日目 天気 晴れ

 830室堂〜1300別山乗越〜1400剣沢BC

 立山駅からケーブルカーで高度を上げることにより雲海の上に出て晴れとなる。準備時間を十分にとり出発する。初夏では30sいかなかった重荷が、夏山では30s前半となったため1年はスピードが出ない。雷鳥沢キャンプ場を過ぎて30分ほど登ったところで勝又が急に動けなくなる。熱中症にかかってしまった。船田、鈴木で面倒を見て、他のメンバーを先に行かせる。荷物を少し抜き、落ち着いてから出発すると、すぐに追い着いてしまった。どうやら高木がばててしまったようだ。別山乗越で高木と船田のザックを交換し剣沢BCまで下りる。

 

86日(木)2日目 天気 晴れのち曇り

 340BC500長次郎谷出合〜700熊ノ岩〜

830Cフェース剣陵会ルート登攀開始〜1240登攀終了〜懸垂下降点1300

1900Cフェース頭手前BP〜2000就寝

 定着初日から真っ暗の中、行動を開始する。雪渓は例年より少なく、途中の滝の周りに雪がない。また、クレバスは空いていないものの、シュルンドが5mほど発達していた箇所もある。1年は雪訓をしていないためだろう、全員遅い。やはり雪訓を行ってからが無難だと感じられる。想定していたリミットぎりぎりに登攀開始となる。先行のみ4パーティもいたが、スピードが変わらないため渋滞とはならなかった。私自身1年のガスの中での登攀以来で、晴れているとこんなにも快適なルートだったのだと感じた。

 登攀終了後、下降して5分ほどで左右に分岐があり、左の方が明瞭なため左を下りる。10分ほどでリングボルト3本の下降支点を見つける。高木がトップで下降し、2ピッチ下りたところでズタズタの雪渓が40m下に現れ、ルートミスを認識する。その頃から小雨が断続的に降ってきた。1ピッチ目を下降しなかったのは、鈴木コーチと山浦だけだったため6名も登り返すこととなった。ユマールを使い登り返すことに1,2年は初めてで、非常に時間がかかる。16時に稜線上でビバークすることを決定する。ツェルトを張るころにはヘッデンが必要となる。就寝後すぐに雲間から満月が現れ、ビバークしていることを忘れるくらい見入っていた。

87日(金)3日目 天気 雨

500起床〜750懸垂終了56のコル〜930長次郎谷出合〜1200BC

 明るくなってから、お湯を飲み出発。私はイメージより快眠だったが、1年は口数の少なさを見ると夜のうちに疲労をためたようだ。昨日とは逆に右を下降する。途中濡れた岩場を1ピッチ懸垂し、程なく下降支点に到着。残置のカラビナが掛かっている。2ピッチで56のコルに着き、以後は山浦を除き順調にBCに帰幕。山浦は雪渓がなくなったあたりから太ももが張り出し、翌日からテーピングをするようになった。BCに着くと大谷監督、高橋が先に着いていた。

 (高橋815室堂〜1050別山乗越〜1140BC

 

88日(土)4日目 天気 雨のち晴れ

700BCにて停滞を決定

別山尾根から剣岳を登頂する予定だったが、朝から雨。10時から晴れたが昨日の疲れもあり、無理して雪訓することなく休養日とする。13時に原澤コーチが着てくださった。

 

89日(日)5日目 天気 曇り

400BC830剣岳着〜910剣岳発〜1300BC

 小雨の中出発。一服剣から曇りとなる。一部湿った岩場が非常に怖かった。原澤コーチには隊の中間に入っていただいて、なんとか登頂できた。登頂時は視界が開け、後立を見ることが出来た。登り下り共に渋滞がひどかったため9時間行動となってしまった。

 

810日(月)6日目 天気 雨のち曇り

520BC610剣沢別山側斜面雪訓場〜620直登〜730トラバース&ジッヘル〜

920FIX2ピッチ〜1110雪訓場発〜1220BC

雨が弱くなってから出発。台風9号の影響で午後には天気が悪くなると予想していたので、近場の雪訓場を選定する。直降では少し雪が飛ぶようになったが、ピッケルの使い方が悪くよくスリップする。時間が惜しいのでトラバースのみ行い、またグループ分けをしてジッヘルを行う。FIX2ピッチ後、下鶴の震えが止まらないためロープワークは明日にしてBCへ帰る。BCに着くと雨が止んだ。

 

811日(火)7日目 天気 晴れ

450BC630内蔵助カール雪訓場〜ロープワーク〜1030雪訓場発〜1145BC

台風9号が太平洋上にそれたので朝から晴れだった。内蔵助カール最上部の傾斜のある場所でロープワークを開始する。初めにスタンディングアックスを行うが、ポイントを1年は忘れている。下鶴に至っては全部指示しなければならないほどだった。頭が痛くなった。部会で再勉強することを決め、BCへ帰る。

 

 

812日(水)8日目 天気 晴れのち曇り

500BC600別山乗越〜810室堂着〜1530扇沢駅着

移動日と言ってもいい今日は、みくりが池温泉に入り、レストランで食事、宅配便を頼んでからは、アルペンルートを観光しつつ扇沢まで行く。下鶴にロープやらスノーバーを持たせ、あわただしく帰らせる。入れ替わりで16時に上野が合流する。扇沢駅の軒下で寝る。

 

813日(木)9日目 天気 曇りのち雨

440扇沢駅〜900種池山荘〜1100冷池山荘〜1130冷池山荘キャンプ場CS1

オーダー:高木−山浦−勝又−飯田−高橋−上野−船田

1年は20kg後半、高木は30kg中盤の重量で縦走出発。8時頃から小雨が降り出し、種池山荘手前で強くなる。種池山荘で衣類を着替えさせる。爺が岳の中峰だけ踏み、すぐにテント場に向かう。今日はずっと雲の中で時折雨がテントを打ちつけた。全体的にメンバーは元気が無かったが、特に山浦はストレスが溜まると静かになる。

 

814日(金)10日目 天気 晴れ

600CS1720鹿島槍ヶ岳南峰〜800鹿島槍ヶ岳北峰〜950キレット小屋〜

1440五竜岳〜1530五竜山荘CS2

 3時に起床すると昨日と同じガスの中、朝食は予定通りにして待機を命じる。予報は雨のち曇りで、明るくなってからダメもとで鹿島槍に行くことにする。オーダーを高木と船田だけ交換し出発する。歩き出して20分もしないうちにガスから抜け出し、空は快晴となってしまった。振り返るとテント場はガスの中だった。鹿島槍ヶ岳からメットを着け、慎重に行くように指示をする。キレット小屋を過ぎたあたりから1年は疲れを見せだし、更に慎重に指示を出す。午後は上昇気流で五竜岳はガスの中だった。五竜山荘に着くとガスが無くなり、今年一番と小屋の人が言うほど綺麗な夕日を見ることが出来た。

 

815日(土)11日目 天気 快晴のち曇り

450CS2630唐松岳頂上山荘〜1030不帰キレット〜1240天狗山荘CS3

オーダーを元に戻し出発。快晴のすがすがしい空気を受ける。唐松岳頂上山荘でまだまだ元気があるので、先に進むことにする。唐松岳からメットを着け、今日も鎖場を行く。不帰U峰北峰の下りから鎖場となる。八峰キレットより動きがスムーズになっている。気になるポイントは、山浦は足腰が弱く、下りでドカドカ足を下ろすこと。勝又の足腰は強いものの、岩場での下りが慣れてなく体の動かし方が下手なことである。不帰キレットからは問題なく天狗山荘に着く。停滞することはもうないので、SP1食残し食いつぶしにかかった。

 

816日(日)12日目 天気 晴れ

345CS3730白馬岳〜930雪倉岳〜1300朝日小屋CS4

テント撤収が少しずつ早くなっている。反省会で体調を聞くと毎日1年は疲れたと答えるが、朝の1ピッチを見る限り昨日の体調を引きずっている者はいない。白馬岳で写真を撮り、白馬主稜を教えるが、やはりというかあまり関心を示さない。雪倉岳を越え、樹林帯に入ると1年は疲れが見え出した。勝又には帽子を被らせ、他は注意して表情を見ることにする。朝日小屋で今日も昼食をとる。

 

817日(月)13日目 天気 快晴

445CS4535朝日岳〜900黒岩山〜1200栂海山荘CS5

連日気温が高く、昨日から樹林帯に入り湿度も上がってきている。7時には勝又に帽子を被らせる。黒岩山からは日陰も無く灼熱だった。水場で水を汲み1ピッチで山荘、行動時間の割に厳しい1日だった。

818日(火)14日目 天気 快晴

345CS51200親不知

2ピッチ後明るくなってから勝又をトップに歩かせ、1年同士を頑張らせる。登りでは飯田は追い付けない。山浦は普段より頑張っている。後半は行動時間を50分に設定し、水を飲ませる。後半縦走は熱中症を出さずに終了できた。日本海で遊んだあと、温泉に入り帰京となった。