大自然の中で発見する心の宇宙

 

 四季折々、世界有数の自然を有する日本の山々。森の中で考え、星を眺めて森羅万象を解き明かす。かつて偉大な哲学者や思想家、科学者たちはそうしてきたに違いない。人生のほんの一時、混沌とした、退屈な日常から逃れ大て自然の中で考え、仲間と語り合ってみよう。そして一生の親友を得よう。山の本をたくさん読んでみるとさらに深みが増すはず。この瞬間をいかに輝いたものにできるかどうか。身体だけではなく、内面を高め、2度とない青春を悔いのないものにしよう。

 


アラスカ 北米最高峰 マッキンリー峰(6,194m)

 

未知のフィールドを求め彷徨う日大山岳部の伝統 

 1924年(大正13年)創部。明治生まれの人たちが創ったクラブなので当時はずいぶん厳しかったと聞く。今はすっかり変わってしまってこれが体育会のクラブ? と思えるほどソフトなムードで活動しているけど、やはり伝統の力はすごい。山は技術書にかかれているだけの小手先の技術で手に負えるものではないし、ガイドブックで紹介されているだけの登山を計画してもつまらない。すばらしい登山の計画は先輩方が蓄積してきた経験と技術と自分達の感性でひとつひとつ築き上げていくものなんだ。とくに日大の特徴は未知の山。日本にもこんなに静かで美しい場所があったのかと感動できる山をたくさん知っているクラブなんだ。もちろんフィールドは海外にもおよぶ。日本人初の北極点到達(1978年)、エベレスト北東稜初登頂(1995年)は有名だ。他の運動部と違って、登山は一生かかって作品を創り上げていく。

 


中国チベット 世界最高峰 チョモランマ峰(8,848m)

 

アルピニストへの道

 

 地形図を見れば立体的に山の景色が見えてくる。天気図を見れば明日の行動を予想できる。そして雪をいただいた山を見ていると冒険心が湧いてくる。それがアルピニストへと成長する一歩だ。情報が豊富になって事前に危険を知ることは容易になってきたけど、自然の厳しさは変わらない。山に入る前には事前の勉強や準備が大切。みんなで時には夜更けまで取り組むこともある。さらに若手OBで構成されたコーチ会と監督とが親身になって計画を検討。登山は身体づくりも大切。装備の進歩で昔に比べればずいぶん荷物は軽くなっているけど、体力のあるなしで成否が決まってしまうことも多い。

 


カナディアンロッキー バガブースパイアー

 

四季、山の空気を肌で感じて学ぶもの

 

 大学には登山サークルはいくつもあるけど、どうせやるんなら山岳部だよ、絶対。夏は白馬岳で花の名前を覚えよう。雪渓が消えると同時にみごとなお花畑が広がっているに違いない。そして黒部の沢に入って岩魚を釣ろう。登山技術がなければ入谷できない北アルプスの真ん中だ。秋は紅葉の穂高で岩登り。やっとのおもいで稜線に這い上がればコケモモが実をつけている頃だ。口いっぱいにほおばってのどを潤そう。冬は剣岳をアタック。岩の殿堂、剣岳も冬は世界有数の豪雪地帯となる。苦しいラッセルも学生時代の良い思い出に。春はやっぱり北海道。雄大な大雪山や知床半島で山スキーを楽しもう。そして次はヒマラヤだ。楽しみ方は先差万別。氷河を調査に行ったり、動植物の研究、農業の実習だといって海外に学問のフィールドを求める部員も多い。日大は型にはまらないオールラウンドな登山も特徴なんだ。就職…各方面で活躍するOBの力を借りて一流企業に就職を決める部員も多い。超個性的な人も多いのでなかなか定職につかない人がいたりするのがたまにきずなんだけど。

 


ネパールヒマラヤ ヒマルチュリ峰(7,893m)